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スーパー明治屋 過労死事件

スーパー明治屋 過労死事件

突然の死

スーパー明治屋の鮮魚部門で働いていたIさん(当時27歳)は、2005年4月8日午前4時頃、急性心機能不全により死亡しました。

2005年3月1日から4月7日まで、死亡前約1ヶ月間のIさんの一日の労働時間は、ほとんど13時間台、特に3月一月の労働時間は、3月4日に亡くなった祖母の通夜・告別式などで時間短縮したにもかかわらず、316時間にも上りました。Iさんは、健康診断の結果でも、特に問題とされるべき疾病はなく、タバコも吸わず、飲酒の習慣もなく、その死は、明らかに過労によるものでした。

常態化した長時間労働

Iさんの長時間労働は、死亡半年以前から常態化しており、2004年10月から2005年3月までの月平均の労働時間は290時間を超えていました。特に月末の棚卸しの時などは、必ずといってよいほど退勤が遅くなり、一日の勤務時間は13時間を優に超え、15時間近く拘束されていました。

人手不足によりIさんに業務が集中していたためか、休日であっても出勤を余儀なくされ、死亡前の3月1日から4月7日までの38日間の休日は、わずか2回でした。

労災認定

京都上労働基準監督署は、2005年11月2日、業務上災害を認定しました。その中で、時間外労働の異常や、-25度の冷凍庫に出入りする作業環境にあったことが指摘され、短期的にも長期的にも過重労働に従事していたことが、死亡の原因であるとする、地方労災医員協議会の意見が出されました。長時間労働の認定には、会社のタイムカード以外に、お母さんが、毎日、Iさんの出退勤の時間を記録していたことが役立ちました。

刑事処分

また、両親は、明治屋の労働基準法違反についても、2005年8月、京都上労基署に対し、会社、会社代表者、当時の京都店長を、告発しました。

2007年6月20日、会社(法人)と店長が労働基準法32条に違反により、略式起訴され、同年7月19日、それぞれ30万円の罰金刑が確定しました。

このような過労死事案において、労働基準法違反での刑事罰が認められるのは、珍しいことです。

裁判で和解

2007年8月24日、京都地裁に、会社に対する損害賠償請求訴訟を提起しました(村山晃、渡辺輝人、糸瀬美保が弁護団を担当)。提訴当日は、新聞・テレビなど多くの報道機関が注目し、報道がされました。

原告となった両親の希望は、会社が、一人息子であるIさんの死に対する責任を認め、謝罪すること、そして二度と同じような悲劇が起こらないことでした。

2008年6月20日、会社が、Iさんの両親に対して相当額の和解金を支払う旨の和解が成立しました。和解では、Iさんの死に対して哀悼の意が表明されるとともに、Iさんの死亡について労災認定が適用された事実が明記され、よりよい職場環境の整備に努めることが誓約されました。また、和解に出席した会社関係者は、両親に頭を下げて詫びました。

その後も、労働基準法違反の長時間労働がまん延し、過酷な働かされ方が社会問題化しています。多くの若者や労働者が過労死していることに対する危機感は高まるばかりです。

健康な若者が、仕事にいのちを奪われるという異常な事態を、これ以上、繰り返してはなりません。