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建設アスベスト訴訟、なんとしても勝利判決を、そして早期解決を

事件報告 建設アスベスト訴訟、なんとしても勝利判決を、そして早期解決を

4年間の裁判闘争

2011年6月、建築作業に従事する10人のアスベスト被害者が原告となって、京都地方裁判所に、国と建材メーカーを相手に、損害賠償請求訴訟を提起しました。

そして、2015年6月1日、最終的には、原告数は26名にまで増加し、裁判は結審を迎え、来年1月29日午後2時半に判決が言い渡されることとなりました。

この間、裁判は、二ヶ月に一度、丸1日を使って、いつも満席の大法廷で充実した審理がなされました。

裁判を続けてきたなかで、もっとも残念だったことは、原告の内、半数の方が、すでに亡くなられたことです。特に、結審を前後して、団長も副団長も逝去されました。身を削って裁判を闘ってこられただけに、判決を聞くことなく命を落とされたことは、どれだけ残念だったか、私自身も胸を引き裂かれる思いです。

「命あるうちの解決を」というのが、アスベスト被害者の共通の思いです。しかし、それだけアスベストによる被害というのは重大かつ深刻なものであることを示しています。肺がんはもとより、中皮腫という病気は、発見された時には、余命がほとんどないという恐ろしい病気です。そんな重篤な被害を引き起こす有毒物質(アスベスト)が、建設現場に蔓延していたのですから、恐ろしい話です。

裁判で明らかになった国と企業の責任

アスベストの有害性はもはや明白です。有害であることが、ずっと昔から知られていたことも明らかにされました。

そして建築現場がもっとも大量にアスベストの使われた場所であったことも、原告ら被害者が、そのアスベストを曝露して発病したことも、すべて明らかです。

国が、アスベストの規制を、とりわけ、建築現場での使用の規制を、怠ってきたことも、明らかです。

私たちが、京都で裁判闘争を続けている最中にも、東京地裁や福岡地裁で、さらに言えば、最高裁判所でさえも、国がアスベスト規制を怠ってきたために被害が発生したことを、判決で認めたのです。

京都の裁判での課題は

第一に、引き続き国の責任を認めさせ、この流れを不動のものとすることです。

第二に、救済を建築業に携わってきたすべての人たちに広げることです。就労形態による切り捨ては絶対に許せません。

第三に、企業の責任を認めさせることです。

企業が、使うこと、売ることに熱心で、何の使用規制もしてこなかったことが、アスベスト被害を作り出した最大の要因です。ただ、いくつもの企業が製造・販売して市場に出回っていたため、どの企業の作った製品で発病したのかが分かりにくい、というのが問題になっています。しかし、そんなことで、犯罪者の逃げ得を、許して良い道理はありません。

これまでの判決でも、企業に責任が無かったとは言っていません。しかし、企業は、裁判所で、直接責任を取る義務がある、とされなかったことを根拠に、世論にもさからって、未だに、何の対策もとろうとしないのです。

京都の判決で、とどめを刺して、全面解決を

ですから、京都の裁判では、判決の主文で、企業に責任のあることを明確にさせることが必要なのです。

また、26名の被害者全員について、国と企業の責任を認め、原告勝訴の判決をさせることです。すべての被害者が、救済されなければなりません。

現実の被害者は、まだまだ存在しています。日本全国に及んでいます。これからも増え続けることが考えられます。そうした人たちが、救済される道を作ること、それも、この裁判の大きな目的です。

運動的には、この一年間で、集まった署名が、56万筆にまでなりました。京建労は、組合にとって最大の課題と位置づけ、支援の輪を大きく広げて、闘いを前進させています。

京都の判決の一週間前の1月22日に、大阪地裁で、大阪の建設アスベスト訴訟の判決があります。大阪と京都と二連弾で勝訴判決を取って、全面解決へ。一気に闘いを強める必要があります。

(当事務所の弁護団弁護士 村山、大河原、秋山、谷)

「まきえや」2015年秋号